今日はとことん、中居林の太夫の姿をお届けします。
えんぶりは、それぞれの組に異なる特徴や魅力があって、「この組が一番良い!」とは言い切れません。
どの組を見てもそれぞれに「惚れる瞬間」があるからです。
そして、何年かかけていろんな組を見ていると「この組好きだな!」と感じる組が出てきます。
大好きなえんぶり組の人に勇気を出して声をかけ、知り合うことで、その組その組に隠されたストーリーがあることを知ります。
そうして、「えんぶり」から得る感動が深みを増していく・・・。
僕にとって中居林えんぶり組は、そういう組なのだと思います。
今回は「太夫」に焦点を当てて、今年の中居林えんぶり組の姿をお届けしていきます。
僕にとって中居林えんぶり組は、そういう組なのだと思います。
今回は「太夫」に焦点を当てて、今年の中居林えんぶり組の姿をお届けしていきます。
撮るより見る。そして知る。
中居林えんぶり組の摺り(すり:太夫の舞)は5人の太夫のビシッと揃った動きが特徴で、「様式美」なんて評されます。とても人気のあるえんぶり組でもあると思います。
もちろん、他のえんぶり組にもそれぞれに良さがあります。
例えば、横町えんぶり組はまるでコンテンポラリーダンスのようなドキッとする突発的な激しい動きをする藤九郎が印象的。
売市えんぶり組はとことんシンプルで、キリッと引き締まった格好良さ。
それぞれが本当に魅力的です。
「すべての瞬間がかっこいい」
中居林えんぶり組の格好良さは、なんでしょうか。
5人の太夫が視線や目線にまで意識を張り巡らせた一糸乱れぬ動きが、いくつかある「ながえんぶり」の組の中でも特別な光を放ちます。
僕は中居林えんぶり組の田植えが大好きです。
「えんぶりの中で一番好きなものは?」と聞かれたら、「中居林の田植え」と答えるかも。
田植えは中居林。
例えば「田植え」の演目。田植えはどこの組も同じような動きをしますが、組によっては子供も参加したり、とても激しく体を振ったりする組もあり、様々。僕は中居林えんぶり組の田植えが大好きです。
「えんぶりの中で一番好きなものは?」と聞かれたら、「中居林の田植え」と答えるかも。
苗に見立てた扇子の高さ、烏帽子の角度、腰の高さ・・・どれをとってもしっかりと揃っています。
くろどめ
えんぶりの演目のクライマックスの「くろどめ」
太夫が田んぼから水が漏れないようにと声を上げながらカンダイを大地に叩きつける動きです。
どの組の「くろどめ」も、昔の人々が田の神に今年も法然であるようにとの願いを強く持っていたということが感じられ、本当に、「じわ〜っ」と涙が流れます。
すべての組が一人で披露しますが、中居林だけが2人でくろどめを披露します。
太夫が田んぼから水が漏れないようにと声を上げながらカンダイを大地に叩きつける動きです。
どの組の「くろどめ」も、昔の人々が田の神に今年も法然であるようにとの願いを強く持っていたということが感じられ、本当に、「じわ〜っ」と涙が流れます。
すべての組が一人で披露しますが、中居林だけが2人でくろどめを披露します。
くろどめではこんなことを言っているそうです。
この一文は、拙著「えんぶりといきる」の巻末にも掲載しましたので、もしよろしければご覧ください。
おうやい是れの御田ともうせばやいおさなみもよい、水持ちもよい、あいらしくも、めづらしくも、でだい子どもやいさてこそ、ちょっと参りて四方の隅より植えたり候是れこそ御田植えの御祝儀かやい上畔より下畔より合せ畔と申しますれば鼠穴けら虫穴よりも水は通さんようにしっぱりと留めたり候
え?いまなんて?
ぶっちゃけなんと言っているのか・・・・聞き取ることは困難ですが、文字にするとなんとなくニュアンスがわかりますね。これを生で聴くと、本当にじわ〜っ涙が出てくるんですよね。
そして最後に、2人の太夫がクイックイッと同時に左右を向いて田んぼの穴を埋めるような(?)仕草をします。
藤九郎
そしてなんと言っても、中居林えんぶり組の藤九郎の格好よさ!
藤九郎とは太夫の主役のことで、動きの激しい「どうさいえんぶり」は他の太夫と同じ動きをしますが、古典的で古い動きとされる「ながえんぶり」は藤九郎だけが全く違う動きをします。
どの組もそうだと思いますが、特に中居林えんぶり組の藤九郎は他の4人の太夫の中央に立ち、一つ一つの動きを丁寧かつダイナミックに舞います。そして中居林の藤九郎にはいくつかの「格好良い瞬間」があって、えんぶり人形にもなるほど。
一番格好良いのはこの瞬間でしょうか。(下の写真)
この瞬間は何度も何度も見ることができるのですが、なぜか「最も撮るのが難しい瞬間」でもあります。
5人の太夫が少しずつ角度を変えながら同じ動きを繰り返していくので、「真正面から見られる瞬間」がとても少ないのです。そして、その時の藤九郎の目線や表情、カメラのコンディションなどなど、すべての条件が揃わなければ満足のいく瞬間は撮れません。
グルン!頭を激しく降り下ろす瞬間も、決めポーズとは違ったかっこよさがあります。
こちらの若き藤九郎さんは、この振り下ろす動きがダイナミック!
金屏風と藤九郎
これが見られるのは、はっちだけ。
えんぶりは寒い中で見るからこそ!ではありますが、暖かい施設の中で見るのもなかなか良いもの。
中心街の公共施設「はっち」の公演では金屏風を前に太夫が舞う憎い演出をしてくれます。最後は雪の舞う演出も!
はっちの公演は食わず嫌いしていましたが・・・これはほんと、最高でした。(はっちの職員の皆さん、素晴らしい演出をありがとう!)
頼もしい学生の太夫
未来が楽しみな学生さんたちがいっぱい!この学生さんたちも将来は藤九郎の烏帽子をかぶる時が来るのでしょうね!
とても楽しみです。
去り際に萌える
中居林えんぶり組の太夫の格好よさは最後の最後まで続きます。
5人の太夫が一列に並び、深々とお辞儀をします。えんぶり博士のSMSKさんによると、この瞬間、藤九郎以外の4人んの太夫はカンダイ(農具を模した木の棒)の下の先っぽを藤九郎に向けないように持っているそうです。
下の写真をよーく見てみると・・・!たしかに!
クイッ!クイッ!のシャコンシャコン!!!
なんのこっちゃ?って感じですが。
お辞儀の後も目が離せません。ゆっくりと起き上がった太夫たちが、クイッ!クイッ!と左右に烏帽子を振りながら少し後ろに下がります。
この瞬間ももう「ほんとなんかもうありがとうございますまじで中居林最高ですヤヴァイです本当この組追いかけ続けて良かったですこれからもよろしくお願いします大好きです来年も追いかけ続けます」
って、思います。
去り際まで見逃せない
そして、太夫を先頭にして腕をクロスさせながら、シャコンシャコンと音をたてて去っていきます。
この瞬間が一番好き!今年は本当に格好良い瞬間が撮れました〜!
5人の太夫の格好良い姿をご覧ください。
ご覧のように、去り際まで完璧すぎるほど格好良いのが中居林えんぶり組の太夫です。シャッターチャンスの多い組ですが、そのシャッターチャンスを見つけるためには何度も何度も太夫の摺りを見て、覚える必要があります。
僕も最近になってようやく藤九郎の動きが頭に入ってきました。なので連写はせず、一番良い瞬間を見極めて「この瞬間だ!」と1回だけシャッターを切ります。そうやって撮ると、すごく格好良い表情が撮れます。
八戸市博物館の視聴覚ライブラリーでは中居林えんぶり組のすべての演目を映像で見ることができるのでオススメ。
これからも何度も何度も中居林の皆さんの姿を拝見し、お話を伺いながら、追いかけ続けていきたいと思います。
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