八戸三社大祭に参加しました。
久しぶりのブログ更新は、青森県八戸市の情熱が爆発する神事「八戸三社大祭」で出会った市民の表情をお届けします。
1721年の神輿渡御から来年でちょうど300回目!老いも若きも一緒になって伝統を受け継ぐ姿を、どうぞご覧ください!
取材協力:鍛冶町附祭若者連
八戸の祭りは「積み重ね」の祭り
八戸の祭りは「積み重ねの祭り」です。大人たちは3ヶ月に及ぶ山車制作、幼児から高校生までの子供たちは1ヶ月間のお囃子練習。プロが山車を制作する青森ねぶた祭りと違って、八戸三社大祭の山車制作は全て一般市民がボランティアで行います。
下の写真の若い男性は鍛冶町の山車組の若手。他町村に住んでいますが、お祭りが好きで10代の頃に鍛冶町のメンバーに。今年は、山車組に入って10年ほどで初めて顔の色ぬりと見返し(山車の後ろ側)を担当しました。参加をためらった時期もあるほど紆余曲折あったそうですが、祭りを自分の人生の一部として捉え、とても真剣に祭りに取り組んでいます。
各山車組では、仕事が終わった後に山車小屋に集まり、深夜に至るまで、土日は昼食を共にしながら、コツコツと山車を作り続ける・・・・その作業を3ヶ月間も続けます。
自分たちが作った山車を自分たちのお囃子とともに引っ張る・・・正直とっても疲れるけど、何ものにも代えがたい楽しさや面白さ、そして少しの辛さが、祭りに参加し続ける何よりの理由です。
まさに三社大祭は積み重ねの祭り。それは、山車制作の積み重ねでもあるし、仲間との信頼の積み重ねでもある。そしてそれが人生の積み重ねとなって、年々深みを増していく・・・・。だから、八戸のお祭りはとても表情豊かで、一人一人の人生に深く刻まれているのでしょう。
子供を愛する気持ち。
一緒になって準備をして、一緒に迎える前夜祭。山車組の人たちのお祭り愛が爆発する瞬間です。子供達も大人に負けないくらいの情熱を持って祭りに取り組みます。
ある人が「山車制作までは大人の祭り。祭り当日は子供の祭り。」と言っていました。大人が制作した山車を、祭り本番では子供達が引っ張ります。
八戸の祭りの良さは、田舎のゆるさをちゃんと残しているところ。ユネスコ無形文化遺産に登録される国際的なお祭りに成長しましたが、町内単位の山車づくりを堅持しつづけ、地域を愛する心と、子供の成長を見守る気持ちを持ち続けることを忘れませんでした。
その地域や子供を愛する心の表れが、祭り本番、子供達の笑顔となって花開きます。1ヶ月間の楽しく厳しいお囃子練習の成果を懸命に披露する子供達の姿に、大人たちの未来への思いを感じます。
下の写真の青年は、幼い頃から祭りに参加してきました。小学生の頃は小太鼓、中学生からは笛と大太鼓を担当。来年には県外企業への就職が決まっています。もしかしたら今年が最後のお祭り参加になるかもしれません。
今年は山車の準主役「アテルイ」の人形の制作を手伝いました。
彼は、祭りを愛する心を持ってを八戸を離れます。辛い時、悲しい時、寂しい時、悔しい時・・・祭りを愛する気持ちが人生の支えになる時がきっと来ると思います。来年のお祭りも、八戸に帰ってきてくださいね。
山車、開く!
山車組の人々にとっては、待ちに待った瞬間です。3ヶ月かけて作った山車。この山車には、仲間と積み重ねた情熱がこれでもかというほど詰まっています。祭り直前まで作り続けた山車がいよいよ広がる・・・山車組の人たちにしかわからない感動が、きっとあるのだと思います。
お還りでは、六日町附祭若者連(むいかまち つけまつり わかしゃれん)の山車が中心街の六日町の通りを通る時、これでもかというほどの紙テープやクラッカーが宙を舞います。山車がやってくると拍手と歓声が沸き起こり、沿道だけでなくビルの窓からも紙テープやクラッカーが降ってきます!地元六日町の人たちがどれだけ山車を心待ちにしていたかがわかる、六日町が地域愛に溢れる瞬間です。
山車のあるところに、人が集まる。
喜びも、辛さも、全て分かち合う。
そして積み重ねの先に、祭りがある。
八戸の祭りはそういう祭りなのだと感じさせられた今年の八戸三社大祭でした。お祭りを愛するあらゆる世代の人々が山車小屋に集い、仲間との支え合いや心の葛藤を経て山車を作る。そして山車小屋の横では子供達が懸命にお囃子を練習する。
青森県の夏祭りの中で唯一ユネスコに登録されたのは、八戸三社大祭でした。これは、地域ぐるみで協力しあい、様々なことを積み重ねながら山車を制作する姿勢が国際的に高く評価されたから。
だから、八戸の人たちはもっと胸を張って良いと思います。
1721年から八戸の人々が守り続けてきた青森県最大の神事「八戸三社大祭」は、いよいよ来年300回目という大きな節目を迎えます。
八戸市民の表情豊かな姿に出会える祭り、八戸三社大祭。
これからもこの祭りの姿をカメラを通して見続けていきたいと思った3ヶ月間でした。
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