SONY α77を2年間使った感想を、率直にお伝えします。
2012年6月にα77を使い始めてから、今年で2年の月日が経とうとしています。
2007年に発売されたα700から実に5年もの歳月を経て登場したα77。このカメラは、とても革新的で挑戦的なカメラだったと思います。
そして、良い意味でも悪い意味でもαユーザーの期待を裏切る“特殊な存在”であると思います。
そろそろ後継機種が登場すると思いますが、今回のこの記事では、賛否両論のあったこのカメラ「α77」を振り返ってみようと思います。
α77の購入を考えている方や、SONYのカメラがどんな物なのか気になる方の参考になれば嬉しいです。
約2年ぶりのα77のレビュー記事です。
前回の記事→[α77レビュー|何でも撮りたくなる最高の友達]
このレビューでは、主に、連写機能、高感度ノイズ、このカメラの使い勝手について書いています。
2011年に登場した、ハイスピード&ハイスペックの革新的カメラ。
このカメラはこれまでのαシリーズをがらっと変える存在でした。
映画を見ているかのように美しい電子ファインダー、驚きの秒速12連写、2400万画素のAPS-Cセンサー、グニャグニャと自在に動く液晶画面など、革新的な性能を凝縮した中級機。
他社の中級機を挑発するようなエポックメイキングな性能は、αユーザーのみならず多くの写真愛好家から注目されました。
これからのαシリーズの方向性を示すソニーの意欲作であったと思います。
酷評と絶賛。
発売当初、このカメラは賛否がはっきりと分かれました。
2400万画素という超高精細なセンサーを搭載したが故に、高感度時のノイズが問題視されました。「コンデジ画質」なんて酷評される事も・・・。
しかしその反面、自由自在な液晶画面や、高速AF、使い勝手の良い電子ファインダーなど、ユーザーの使い勝手を追求したソニーの姿勢は歓迎されていたと思います。
最近のレビューを見ると、発売当初の批判が嘘だったのではと思うほど、このカメラを歓迎する内容のレビューが多くなってきています。
「前評判を読んで心配になったけど、実際に買って使ってみたらちゃんと使えるカメラだった。」というのが実際に使ってみた多くのユーザー達の本音のようです。
僕もその「心配」と感じていた一人ですが、このカメラを2年使ってみた今は「最高の一台に出会えた」とこのカメラを所有している事に喜びを感じています。
驚くべき高画質と、美しい発色。
写真で大事なのは・・・自分が使っているカメラの事を理解して撮影する事。
α77の癖や使い勝手を理解して撮影すれば、満足のいく作品を作り上げる事ができます。
まぁ、これはどのカメラにも言える事ですけどね。
当時は革新的だったα77の2400万画素のセンサーは、肉眼で見る世界を鮮やかで高精細に写し出しました。
2400万画素のセンサーは、大胆にトリミングしても画質に粗が出ないほど高精細。
撮影条件の良い環境で撮影すれば、あっと驚くほど鮮明な一枚に出会える事も!
このカメラで撮影した写真は、ピクセルサイズ6000×4000というとんでもない大きさで吐き出されます。
高速連写、スポーツ写真に問題なし。
秒速12連写の超高速な連写機能を備えたα77ですが、心配なのが「すぐに息切れしてしまう。」という事。
分かりやすく言うと、ものの十数秒で連写が途切れ途切れになってしまうのです。
この事については2年前に書いたレビュー記事でもお伝えしている通りです。
僕は2013年、このカメラで初めてスポーツ写真の撮影に挑戦しました。
月に数回、地元のサッカーチーム「ヴァンラーレ八戸FC」の試合を撮影しました。
スポーツ写真で感じた事は「確かに連写はすぐ途切れるが、高速AFと連写の相性が良く、スポーツ写真に十分耐えうるカメラである。」という事です。
確かに高感度撮影を求められる種目や場面では、α99や、NikonのD4等、より高性能なプロ向けのカメラに出番を譲ることになります。
でも、アマチュアの撮影だと割り切れば、α77は十分な性能です。
スポーツ写真は、「ここぞ!という瞬間にシャッターを押す瞬発力」と「撮影後の大胆なトリミング」が求められます。
スポーツ写真は選手の表情をダイレクトに表現するために大胆にトリミングする事もあります。
α77は、高速なAFと高精細な2400万画素のセンサーで、スポーツに撮影に耐えうる十分な性能があると思います。
過去のソニーの一眼より格段に進歩し、CanonやNikon等に限りなく近づいたと思います。
本体内手振れ補正で、望遠でも手ぶれに強い。
スポーツ写真や野鳥撮影などでは、500mmや600mm等の超望遠のズームを使う事もあると思います。
望遠になればなるほど、手ぶれが発生する確率が高くなります。
僕は超望遠のレンズを使った事はありませんが、ソニーの一眼はCanonやNikonと違って本体内に手振れ補正機能があるので、手ぶれに強いカメラシリーズであると思います。
この写真は東京ディズニーシーで撮ったもの。
カメラと被写体の距離が130メートル前後とかなり離れているため、450mmまでズームして撮影しました。
暗い夜に行われる水上ショーですが、船に乗って移動するミッキーやミニーをブレずに撮る事が出来ました。
感度を上げたためノイズが乗っているものの、ちゃんとブレが抑えられています。
じっくり作り込めて、楽に撮影出来る使い勝手の良さ。
これこそ、ソニーのカメラで最も優れている点だと思います。
マニュアルフォーカスがとても楽になる、「ピーキング」。
ファインダーを覗くのが難しい場面で役立つ、高精度なライブビューと自由自在に動く液晶。
ファインダーでもライブビューでも目の前に表示される、水平器。
これまで撮影が少々面倒だった場面でも、α77をはじめソニーの一眼には撮影を楽にしてくれる工夫がなされています。
▼AFではピントが合わない小さな植物を、MFでピーキング機能を使って素早く撮影▼
ピーキングを使えばピントが合っている部分をカメラが教えてくれるので、とても楽。
▼そびえ立つ建物も、バリアングル液晶を動かせば楽な姿勢で撮影出来る▼
写真は東京スカイツリー。僕のまわりで撮っていた人は、ものすごい姿勢で撮っていました。
▼ファインダー内にも水平器が表示されるので、平行をとるのがとても楽▼
高感度撮影、殆ど困る場面はない。
ISO3200やISO6400など、極端に感度を上げて撮影する事が多い人には、より性能の良いカメラをお勧めします。
ソニーはこのカメラでAF性能や高画素などに力を入れたのだと思います。
確かに、このカメラは他機種に比べれば高感度耐性が強いとは言えません。
これが、多くの人がこのカメラの購入を躊躇する一番の理由だと思います。
ただ、過去のカメラと比べれば性能は格段に向上していますし、
僕がこれまで使っていた旧機種α300と比べるともう化け物かと思うほどの進化ぶりです。
僕がこのカメラを2年間使った限りでは「ノイズが乗って困る」という場面に遭遇した事は少なかったです。
▼ISO3200▼
▼ISO800▼
▼ISO1250▼
▼ISO6400(マルチショットノイズリダクション)▼
まとめ:撮影を楽にしてくれる「もっと撮りたくなる」カメラ。
2年前にこのカメラを買ったばかりの頃にも同じ事を言いました。
「ピーキング」や「自由自在に動く液晶」「スポーツ写真にも使える高速なAF」
「大胆なトリミングにも耐えうる2400万画素」「驚くほど美しい電子ファインダー」など、このカメラには優れた点が幾つもあります。
これらの優れた機能によって、これまで撮影が難しかった場面を「もっと撮りたい」と思える場面に変えました。
ソニーの姿勢が見える「未完の名機」
ソニーはいつも、世の中には無い新しい物を作ろうとする企業だと思います。
ソニーはこのカメラで、新しい視点で作られた革新的なカメラをカメラ業界に投入しようとしたのだと思います。
確かに、高感度耐性では他の機種に席を譲ってしまいましたが、
高速なAFや、高速連写、使い勝手の良いピーキング/液晶/美しいファインダーなど、当時の最新技術をウマくまとめて、使い勝手の良いカメラに仕上がっていると思います。
このカメラを使っていると、「最新技術で、今までよりも楽に楽しく写真を撮って欲しい!」という開発者の想いが感じられます。
でもちょっと惜しいところもあるので、、、未完の名機・・・といったところでしょうか。
僕がこの2年でこのカメラを最高だと思った点は
・撮影が面倒だった場面でも楽に撮影ができる使い勝手の良さ
・ここぞ!という時もしっかりAFが働いてくれる
・作品作りに没頭したい時に、自由自在に動く液晶や、水平器が手助けしてくれる
・ピーキングがマニュアルフォーカスをとても楽にしてくれる
などです。
ソニーに今後頑張ってほしい点は
・高画素撮影時のノイズの低減
・高速連写でも息切れしない体力
などです。
これまで撮影を諦めていた場面や、撮影が面倒だった場面でも、「このカメラなら撮れる!」と思う事が多いです。
ソニーはとても素晴らしいカメラを作ってくれました。
今後発表されると噂されているα79にも期待しています。